従来のロックにとらわれない、まさにオルタナティブなロックバンド、
ハイスイノナサ。
若手バンドのうちに入るか。
でもPVのセンスなども抜群で、邦楽の枠に収まりきらない、最先端音楽バンド。
その最新シングル「reflection」のディスクレビュー。
ハイスイノナサと言えば、
ノイズミュージックにも通じるような難しい音楽を、
生々しいバンドサウンドとボーカル鎌野愛さんのイノセントな歌声で
出来るだけポップに聴き易くしたような曲が特徴的だけど
この「reflection」はそのポップさを極限まで減らした、かなり実験的な一枚。
一回聴くだけでは、上手く噛み砕けない。
音楽というより音の集合に近いのだけど、何回か聴いているうちに
自分の中で音楽として形作られる。本当に興味深い。
そして部屋を暗くし、雑念を取り払ったときに、
バンドが持つ独特の冷たさとイノセントさが聴こえてくる。
そこに気が付いたら、どっぷり世界観に沈められてしまうだろう。
鍵盤の音や電子音の重なりに飽きることはなく、聴けば聴くほど新たなグルーブが発見される。
この音楽はまさに奇跡。
聴けばこんな世界があったのかと驚くことになるだろう。
一曲目の「mirror」はストリングスと電子音の波に
ぞくっとする。
音の響きが恐ろしくも心地よい。
そしてそれと対になっているという表題曲「reflection」
「mirror」の要素がばらばらになって、また再構築されている。
ばらばらだった音が次第に一つの音楽を形成していく様はまさに鳥肌もの。
曲としての形が見えてきたところで、すでに曲の後半に突入している。
そこで、満を持して鎌野愛さんの歌が聞える。
世界を俯瞰し風景を切り取ったような歌詞も秀逸。「歓声は窓の外を流れる」
鎌野さんの声も歌詞も世界観を作る楽器の一つのよう。
注目すべきは、鍵盤の音。
これが、土台となってハイスイノナサが作り出す緊迫感のある冷たさを演出している。
本当に、「こんな音楽があったのか!」となる一枚。
ぜひ、ロックファンは聴いてほしい。
いや全ての人に聴いてほしい。
音楽というより、現代芸術の域に入っている。
日本にこんなアーティストがいるということは、世界に誇れる。
本当に、何回も聴いてほしい。